2019年10月7日月曜日

ポスト・グローバル化

グローバル人材の育成という言葉が教育目標として掲げられていました。
英語が堪能で、海外でも活躍できる人材を養成しよう、というものです。
ですが、こうした取り組みが適切かどうか、疑問です。

第一に、世界では反グローバリズムの動きが強くなっています。
英国のEU離脱、トランプ大統領の選出、フランスの黄色いベスト運動など。

第二に、グローバル化した世界は、公正な世界ではありません。
経済的格差の拡大や、民主主義の機能不全が、必然的に生じます。
グローバル企業の力が増します。
「非正規労働者を雇用しやすくしなければ、生産拠点をこの国から移す」
「法人税を引き下げる税制改革をしなければ、この国に投資しない」
などと圧力をかけられるようになります。
その結果、富める者が富を蓄積し、庶民の生活は不安定化します。

第三に、グローバル人材は、倫理的だと言い難い。
企業の私物化、課税逃れが新聞紙面を賑わします。
自らを育んだ国や地域社会に愛着を持たず、自己利益のみに
突き動かされる人間を作ってしまう恐れがあります。

現在の教育に求められるのは、グローバル化を乗り越え、
荒廃を是正する人材の育成でありましょう。
「ポスト・グローバル人材」の育成が求められています。

そこで、求められるのは、社会的基盤の再生です。
国民の分断を解消し、連帯意識や、相互扶助意識の再構築を図ること。
また、インフラの再整備もそうです。

そうした、ポスト・グローバル人材に求められるのは、
恩を認識し、他者とのつながりに重きを置く価値観です。
国や地域社会、家族など周囲の人々、あるいは、先人の努力のおかげで
今の自分があると感じる謝恩です。

ポスト・グローバル化の時代は、もうそこまで来ています。
世代を超え、人と人との絆を再生し、お互いの価値観を尊重しあい、
一致する点を見つけそこで団結する。
そんな教育が、求められている、と私は思います。