教科書を読んで理解するって、難しいんですよね。 なかなかできることではありません。
教研出版の教科書は、とても丁寧に詳しく解説してくれているんですけれど、これを読んで理解するには、相当な読解力や背景になる知識を習得しておかなければできません。
教科書を読むだけでは理解が不十分だからこそ、『教える人』が存在します。
『教える人』は、『教わる人』のレベルや理解度に合わせて、教え方や内容を変えます。
分数の計算ができない、とすれば、通分や最小公倍数などさかのぼって学ぶ必要があります。『教える人』は『教わる人』の目線に立って、教える内容を変えなければ、理解に導くことができません。
『教える人』が教科書通りのことを話しただけで、『教えたつもり』になってはいないでしょうか。そうしたことを聞かされても、『教わる人』は当然理解ができませんよね。
では『教えた』とは、どういう状態を指すのでしょうか。
それは、相手が今までできなかったことが、できるようになった状態を言います。
教えたかどうかは、『教わる人』ができたかどうか、その結果を見ればわかります。
『教わる人』ができるようになっていなかったら、『教える人』は『教えたつもり』に
なっているだけです。これは『教えた』とは言えません。
『教わる人』がいい結果は出せないのは、『教わる人』の責任ではなく、
『教える人』の責任です。これを難しい言葉で、『学習者検証の原則』と言います。
有効に『教える』ための様々な研究が、認知行動学、心理学の分野でなされており、具体的な『教える」ためのスキルが示されています。
まずは易しいステップから少しずつ始めること。そして少しずつ少しずつ、複雑なステップに進む。これを『スモールステップの原則』と言います。
この原則に従うと『教わる人』は失敗することなく、理解が進みます。いきなり複雑で難しい課題に挑戦させると、失敗する確率が高くなります。ですから、できるだけ『スモールステップの原則』に沿って進めます。
その際どんなことに気をつければいいかと言うと、『相手をよく観察すること』です。うまくいったら「オーケー、できているよ」と声をかけます。
相手の行動に対して、声をかけるなどの反応をして相手に伝えることを『フィードバック』と言います。
すぐにフィードバックをすることが大切です。これを『即時フィードバックの原則』といいます。子どもは、見られていることを喜びます。大人であっても気にかけてもらって嬉しいですよね。そうしたことが刺激となって、やる気につながります。