2019年11月9日土曜日

「人はみな生まれながらに知ることを欲する」 アリストテレス

 紀元前384年に、ギリシア北のマケドニアに生まれたアリストテレスは、哲学と西洋文化全般に大きな影響を与えました。アテネに移ってプラトンの学園アカデメイアに学んだ後、自身の学園リュケイオンを開きました。

 紀元前5世紀のアテネでは、修辞学や生物学など、さまざまな研究領域が哲学研究に含まれていました。アリストテレスは、学問のほぼすべての分野で大きな貢献をしています。

 アリストテレスは、哲学は正確な順序で学ばなくてはならない、と考えていました。最初に学ぶべきは、論理学です。論理は、この世界についてのあらゆる事実が、互いにどのように結びついているかを説明するからです。

 アリストテレスは、三段論法を発展させ、複雑な議論を基本的ないくつかの形式に変換する法則をまとめました。三段論法で最も有名なのがこれです。

(大前提)全ての人間はいずれ死ぬ。 
(小前提)私は人間である。
(結論)ゆえに、私はいずれ死ぬ。

 論理学の次にアリストテレスは、具体的な自然現象を調べるべきだ、と考えていました。彼は自然学のテーマについて、「自然学」「動物部分論」「動物運動論」「気象論」など多数の著作を書いて、自然界を説明する一般原理を導き出しました。

 最後に学ぶべきは、実践哲学で、これには倫理学と政治学が含まれます。アリストテレスの考えで、倫理とは、主に適切な訓練ができるかどうかの問題でした。人々はどのように行動するのが適切か普通は知っているのだから、この知識に従って行動するだけの道徳的強さを持てば良い、と考えました。善人であることは、正しいことを行う傾向を持っているということであり、この傾向は人に教えこむことができます。

 政治については、アリストテレスは国家の目的を、市民が幸福で満ち足りた生活を送ることのできる環境を整えることだと考えました。民主政治を支持していましたが、状況によっては君主制の方が好ましい場合もあると、認めていました。