2022年4月21日木曜日

メトロノームを練習に取り入れましょう。

メトロノームを鳴らして練習する時間を、取り入れましょう、というお話です。

 
昨日、初めての方向けのギターレッスンで、メトロノームを使いました。レッスン当初は、拍に合わせてストロークをすることが難しかったのですが、今では格段に上達。メトロノームに合わせて、一曲を弾き切るまで、あと少しのところです。
 
メトロノームに合わせて、塾生とぼくとでギターを弾いているとき、グルーヴを感じました。何かこう、身体を動かしたくなるような、楽しい感覚です。同時にメトロノームが第3のメンバーであるかのように、ぐっと身近な存在に感じられたのです。

これまで演奏する側は、運指に迷い、左右の指の動作の不一致に格闘。その一方、メトロノームは、そんな事情におかまいなく、リズムを刻み続けます。
 
それは、フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスが言うところの、<他者的存在>でした。

自分がコントロールできる枠の外にあり、「私の主張を否定してくるもの」「私の理解をすり抜けるもの」です。

ところが、昨日は、違いました。 
ぼくたちは、自身と周囲の音を聴き取ろうと集中に努めました。そうすると、メトロノームの音が、だんだんと聴こえてくるのです。

これまでも流れていたはずのクリック音が、より鮮明にヴィヴィッドに、つまりは視覚的確実性というのか、そんな性質をもって、聴こえてくるのです。自分自身の鳴らす音も、同じように聴こえてくるのです。

そのとき、演奏者は、<他者的存在>であるメトロノームと、ステージを共にしているかのような感覚を得ます。メトロノームが機械的で精確無比であるからこそ、こちらはその上で安心して遊ぶ自由と、自分自身をコントロールしている感覚を獲得します。

メトロノームを使う時間を少しでも取り入れるといいですよ、というお話を伝えたかったのです。